浴衣は夏祭りなど夏の定番の装いですが、夜になると意外に寒く感じることがあります。涼しい顔で着こなしたい浴衣も、温度差や風にさらされると体が冷えてしまうものです。
この記事では、寒い時に浴衣を着用する際のおすすめ防寒術をご紹介します。インナーや羽織物、小物を上手に組み合わせて、季節に左右されない快適な浴衣スタイルを叶えましょう。
目次
浴衣で寒い時の寒さ対策・着こなしのコツ
浴衣は綿素材の薄手生地で作られた一枚仕立てです。裏地がないため涼しく通気性に優れていますが、その反面、保温性はほとんどありません。夏の着物である浴衣は見た目も軽快ですが、夕方以降になると急に肌寒く感じる特徴があります。
浴衣を快適に着こなすには素材や構造の違いを知り、適切な対策を取ることが重要です。
浴衣の素材と特性
浴衣は綿や綿麻の薄手生地でできています。裏地のない単衣仕立てなので通気性が高く、肌触りもさらりとしていますが、その分、冷気を通しやすいため保温性は低くなります。薄手の浴衣は暑い季節には快適ですが、夜風の冷たさには弱いという一面があることを認識しておきましょう。
浴衣と着物(袷)の違い
浴衣と袷着物には素材や構造に大きな違いがあります。以下の表で特徴を比べてみましょう。
項目 | 浴衣 | 袷着物 |
---|---|---|
素材 | 綿や綿麻の薄手生地 | 絹やウールなど厚手で裏地付き |
裏地 | 無し(一枚仕立て) | あり(裏地付きの袷仕立て) |
通気性 | 非常に良い | 普通~やや低い |
保温性 | 低い | 高い |
浴衣を着るシーンと気温変化
浴衣は夏祭りや花火大会、温泉旅館など夏場のイベントで着る機会が多いですが、いずれも夜間に気温が下がるシチュエーションです。特に海岸や山間の温泉地では風が強く吹いたり、日没後は急に冷え込んだりすることがあります。
アウトドアイベントでは風で体感温度が下がりやすいので、薄手の浴衣だけでは寒く感じることもあります。事前に寒さ対策を検討しておくと安心です。
インナーや下着で体を温める方法
浴衣の下に着るインナーで暖かさをアップすることも大切です。薄手の浴衣では体に直接触れる下着に工夫をすると防寒効果が高まります。
保温性の高い下着やインナーを選んで、体を内側から温めましょう。
保温性の高いインナーを選ぶ
浴衣の下には、ヒートテックなどの保温性に優れた機能素材のインナーを着用すると効果的です。薄手でも体温を逃がさない素材を選ぶことで、外気の冷たさから身を守れます。襟ぐりが大きく開いた浴衣はVネックタイプのインナーがおすすめです。肌着が見えても違和感のないデザインを選びましょう。
男性の場合は、Vネックの長袖シャツや腹巻付きインナーで胸元やお腹を覆うのが効果的。肌に直接触れる下着を工夫するだけで、浴衣姿も格段に暖かくなります。
レギンス・すててこで下半身も暖かく
下半身の冷え対策にはレギンスやすててこ(ももひき)が便利です。特に綿やフリース裏地のものは保温性に優れており、浴衣の下に履くと太ももや腰回りを暖かくカバーしてくれます。
冷気は足元から冷えやすいので、浴衣の裾から風が入るのも防げます。夜間の屋外では積極的に取り入れたい防寒アイテムです。
裾除けや長襦袢で風の侵入を防ぐ
裾除け(すそよけ)や長襦袢を着るのも有効です。綿素材や暖かな素材の裾除けを重ねると、浴衣の裾から冷気が入り込むのを防げます。表からは見えないインナーで、自然な防寒レイヤーを作りましょう。
特に温泉旅館などでは浴衣に長襦袢を合わせることもあります。和装の下着を上手に利用して、寒さ対策を強化しましょう。
羽織物・ショールで防寒:浴衣に合わせたコーディネート
浴衣に羽織物やストールをプラスすると、防寒効果が格段にアップします。屋外だけでなく冷房の効いた室内でも活躍するアイテムです。おしゃれに防寒するコツを見てみましょう。
伝統的な羽織・道行の活用
和装の上着である羽織や道中着は保温性が高く、秋冬でも浴衣を着る場合の強い味方です。ウールや厚手の織物を使ったものならさらに暖かです。襟元までしっかり覆ってくれるので、飾り気のない浴衣に安心感をプラスしてくれます。
ストールやショールで首元を暖かく
ストールやショールを肩や首に巻くだけでもかなり暖かくなります。特に首回りが冷えやすいので布を当てておくと体感温度が大きくアップします。薄手のものでも重ねれば保温性が増すので、首周りのおしゃれと防寒を両立させましょう。
おしゃれのアクセントにもなる柄物や明るい色のストールを選んで、顔回りを華やかに演出するのもおすすめです。
レース羽織・ポンチョなどおしゃれな防寒アイテム
レース羽織やファー使いのケープ、ポンチョ型の羽織など、近年はデザイン性の高い防寒アイテムが豊富に揃っています。体を覆う面積が広いので軽装の浴衣でもしっかり暖か。パーティーシーンにも映えるアイテムで、おしゃれに寒さをしのぎましょう。
足元や小物で冷え対策
足元は浴衣スタイルでも冷えやすい部位です。暖かく保つアイテムを上手に取り入れれば、寒さ対策は完璧になります。
手袋や腰回りの小物も忘れずに。細部の工夫で全身が暖かく感じられます。
厚手の足袋やレギンスで足元を保温
厚手の足袋や片足用のインナー足袋を使えば、足元の冷えをしっかり防げます。特に内側がフリースやネル素材のものは保温性が高く、足先まで冷たさから守ってくれます。
寒い場所では複数枚の足袋を重ねても効果的です。足首まで暖かくなることで全身の寒気が和らぎます。
冬用の草履・ブーツで快適に
冬用草履や和装ブーツの使用もおすすめです。冬草履は鼻緒に綿が入っていたり、厚手の底材を用いていたりと防寒対策が施されています。雪や雨の日には和装レインブーツを合わせれば足元からしっかり保温できます。
貼るカイロや温か小物で補助
貼るカイロや温かい小物でピンポイントに温めるのも有効です。腰や背中、足元にホッカイロを貼れば、浴衣姿でも急激な冷え込みに負けません。あらかじめポケットに入れておき、冷えが気になり始めたらすぐ使えるように準備しておきましょう。
手袋・アームウォーマーで手元も暖かく
手先も冷えやすいので、手袋やアームウォーマーで手首周りを保護しましょう。浴衣の場合は通常の手袋は袖から出てしまい見映えがしないので、指先が出るタイプやスマホ対応の手袋を選ぶと便利です。
夏祭り・旅行先で浴衣を着るときのポイント
夏祭りや花火大会では深夜まで屋外にいることもありますし、温泉旅行では館内着として浴衣を着る機会もあります。それぞれの場面での寒さ対策ポイントを抑えておきましょう。
夜の屋外イベントでの寒さ対策
花火大会や盆踊りの夜は、日が沈むと急激に気温が下がります。屋外で風を受けると体感温度がさらに下がるので、寒いと感じたら早めに羽織を着るかカイロを使いましょう。予備として一つ多めに持参しておくと安心です。
また、天候が不安定なときはポンチョやコンパクトな雨具を携帯すると安心です。浴衣が濡れると風邪をひく原因になるので注意しましょう。
温泉旅館での浴衣着用と寒さ対策
旅館で用意される浴衣のほか、冬期にはちゃんちゃんこや羽織が用意されていることもあります。必要に応じてレンタルできる場合もあるので、遠慮せず活用しましょう。浴衣の下に暖かいインナーを重ね着するのも効果的です。
温泉から上がった直後は体が冷えやすいので、足元には厚手のタオルや足袋を履いて保温しましょう。浴衣姿でも体温の急激な低下を防ぐ工夫がポイントです。
寒さ対策アイテム持ち物リスト
浴衣で外出するなら、あらかじめ次のアイテムを持っていきましょう:
- 薄手でも暖かいストールやショール
- Vネックなど保温性の高い長袖インナー
- 厚手の足袋や暖かい靴下
- 貼るカイロや携帯用カイロ
- スマホ対応手袋やアームウォーマー
まとめ
浴衣は夏らしい着物ですが、寒い季節や涼しい夜にはしっかり対策が必要です。インナーや下着で体を温め、羽織物で外気を遮り、足袋や小物で手足を暖かくすれば、薄着の浴衣でも快適に過ごせます。寒い時こそおしゃれに防寒して、浴衣の魅力を最後まで楽しみましょう。