和装での結婚式出席を予定している方の中には、メガネのコーディネートに悩む人が多いです。伝統とスタイルを両立させつつ、いつもの自分らしさも忘れず楽しみたいもの。古くは昭和天皇や著名人が着物姿に眼鏡を合わせている例もあり、マナー上の問題はありません。現代では、デザイン次第で和装をモダンに引き立てるアイテムにもなります。本記事では、和装メガネを結婚式でおしゃれに着こなすヒントや注意点を詳しく解説します。
結婚式におすすめの和装メガネコーデ
着物姿にメガネを合わせる際は、全体のバランスが重要です。派手な柄物や極端な形のフレームは避け、着物の格にふさわしく上品なものを選びましょう。まず女性の装いでは、振袖や色打掛に明るい色の帯や小物を合わせる場合、ポイントカラーと同系色の細めフレームが好相性です。例えば、淡いピンクやクリーム色の振袖には、ピンクのフレームやゴールド縁のメガネを合わせると統一感が生まれます。
一方、モノトーンや深い色合いの留袖には、落ち着いた黒やブラウンのフレームが引き締め役になります。フレームの形はラウンド系やキャットアイでも顔立ちに合わせて選べば、優雅さと知性を演出できます。帯揚げや帯締め、髪飾りとの色の相性にも気を配り、メガネアクセサリーとバランスを取ると全体が映えます。
女性の和装メガネコーデ
女性の場合、メガネは和装のアクセントとなるアイテムです。レンズの小ぶりな細フレームは顔周りをすっきり見せ、和服の華美さを邪魔しません。あえて七宝焼きなど和柄の彫りがあるフレームを選ぶと、和モダンな印象も楽しめます。浴衣や訪問着なら動きやすいクリアフレームも合わせやすいです。花嫁衣裳の白無垢や色打掛で過度に目立たせないため、ゴールドやシルバーカラーで耳元を控えめに演出することも一案です。
また、揺れるイヤリングや重めの髪飾りを付けすぎると重心が上に偏ってしまうので注意しましょう。メガネ枠と和装の帯や半襟カラーをリンクさせることで、統一感のある上品なコーディネートが完成します。
男性の和装メガネコーデ
男性の和装では、紋付袴(紋服)の格に合わせて選びます。黒紋付にはシンプルで落ち着いた黒縁やセル縁のメガネがお似合いです。スーツ姿と違い和装は余計な装飾を避けるのがマナーなので、金属フレームを選ぶ場合も目立ちすぎない細めのものを選ぶとスマートにまとまります。
また、現代では濃紺やグレーの紋服も増えているため、ブラウンやグレーのセルフレームを使って色味にアクセントをつけるのもアリです。ただし、奇抜なデザインは控え、顔型に合った自然なラインにするのがベター。眼鏡と帯留めや羽織紐の金具をそろえたり、足袋や草履の色味に合わせたりすると、全体の統一感が高まります。
配色や小物のバランス
和装の色調とメガネフレームのカラーをマッチさせると、より洗練された印象になります。目立つ派手な着物なら、メガネはシンプルカラーで引き算すると全体が調和します。逆に控えめな色合いの着物なら、フレームに少し個性を出してもOKです。
帯や帯揚げ、コサージュなどの小物との組み合わせもポイントです。例えば、帯締めの色をメガネのテンプル(つる)の色や模様にリンクさせると、着物全体に奥行きが出ます。和装用にメガネストラップや印伝のメガネチェーンを取り入れると、会食や披露宴中に落とす心配も減り、おしゃれ度も上がります。
和装でメガネを着用するマナー
着物にメガネは「マナー違反」と思われることがありますが、実際には全く問題ありません。江戸時代から眼鏡は存在し、昭和天皇や文化人が着物に眼鏡をかけた写真も残されています。着物や紋付き袴の格式が高いほど、伝統的にはフォーマルな装いが求められますが、視力補正は本質的に医療的な行為ですので、必要な場合は着用して構いません。
ただし、注意すべきポイントもあります。婚礼のようなフォーマルな場では、光沢の強い派手すぎるメガネフレームは避ける方が無難です。また、地域や宗教的な慣習で眼鏡を極力外すことが推奨される場合もあるため、主催者や開催場所の案内に目を通しておくと安心です。総じて、普段使いのメガネであれば着物の美しさを損ないません。
歴史と伝統からみたメガネ着用
歴史上、日本でも着物に眼鏡を掛けていた例は多くあります。有名な写真では昭和天皇が和服で眼鏡をかけており、落語家や俳人、政治家なども着物姿にメガネを組み合わせています。また江戸時代には武士や商人が書物を読む際に眼鏡が活用されていた記録も残っています。つまり文化的に見ても、眼鏡と和装は決して相容れないものではありません。
一方で、「着物にメガネはNG」という俗説は、明確な根拠なく広まったものです。昔の雑誌などにも着物と眼鏡を合わせたファッション画が掲載されており、現代の専門家も「着物の格式上は問題ない」と述べています。もちろん着物の飾り帯や草履と同様、全体のにぎやかさを考慮して選べば、より調和のとれた装いになります。
現代の和装マナー
現代では自由なファッションが好まれます。結婚式で着物を着る際、どうしても眼鏡だけではなく小物やコスメにも意識が向きますが、彩りすぎないことが大切です。例えば、金色フレームは着物との相性が良い場合もありますが、葬儀を連想させるほど過度に光るものは避けましょう。着物の礼装である黒留袖に合わせるには、シンプルな黒縁やチタンフレームが上品です。
また、花嫁自身がかける和装アイテムとして、かつらや綿帽子・角隠しなどの髪飾りがあります。顔周りにメガネと重複する装飾をしすぎないよう、どちらかを控えることでバランスが取りやすくなります。特に白無垢の場合は、メガネのフレームをクリアや白系にすると、顔まわりが軽やかに映ります。
フォーマル着物での注意点
結婚式の着物は格式の高い服装です。特に親族の女性は黒留袖、未婚女性は色無地や訪問着、既婚女性は付け下げなどが多いでしょう。これらの着物柄や帯柄が華やかな分、メガネはあくまで脇役に徹するのが得策です。
そのため、メガネの形や色はシンプルに。フレームは細め、装飾が控えめなものを選んでください。例えばフロントにストーンや模様が入っていないもの、色味も黒・茶系・ゴールド系など落ち着いたトーンが安心です。イヤリングやかんざしも大ぶりを避け、メガネとの調和を意識しましょう。
和装に合うメガネの選び方
和装に合わせるメガネを選ぶときは、まずフレームの形状が重要です。着物の襟元や帯のラインと対比するように、フレームは丸みを帯びたオーバルや楕円が顔なじみが良く、優しさを演出できます。逆にキリッとした印象を出したいときは、細身のスクエア型も使えます。ただし、顔サイズに対して大きすぎるメガネは浮いて見えるため注意が必要です。
フレームの厚みや素材もポイントです。セルフレームの場合、厚みがあるとカジュアルな印象になりやすいので、薄めでレンズ周りが華奢なものがフォーマル向きです。チタンや金属のフレームは光沢が上品で、結婚式にぴったり合います。和装には伝統色の黒や鼈甲色がベーシックですが、柄物着物にはアクセントとして薄いべっ甲柄やゴールドフレームも合います。
軽さやフィット感も見逃せません。和装の髪型はアップが多いため、メガネが落ちないようテンプル(つる)の内側に滑り止めコーティングがあると安心です。また、鼻パッド付きのメガネは、顔に沿ってしっかり支えてくれるので重宝します。帯の重さで動きが制限される和装では、長時間かけても疲れにくい軽量モデルを選ぶと快適です。
フレームの形や厚さ
顔型に合わせ、フレームのラインを決めます。丸顔の方は直線的なスクエア型でシャープに、面長の方は丸みのあるデザインで輪郭を和らげるとバランスが取れます。女性らしさを出したい場合は、ふちなしやナイロール(下縁がないデザイン)で柔らかい印象にするのも方法です。フレームの厚みは控えめが基本。細身のラインは着物の品格を損なわず馴染みます。
太いフレームは避けるべきですが、どうしても太めを選ぶなら色味を着物に近いものにしましょう。例えば濃紺の留袖に濃紺フレーム、朱赤の振袖に赤みの強いフレームなど、衣装と色をリンクさせると不思議と違和感が減ります。
色や素材の選択
色は、和装全体のカラーストーリーに合わせます。伝統的な黒留袖や紋付袴には光沢のある黒やシルバー、金色が合います。華やかな訪問着や振袖では、挑戦的な色にせず紺やブラウン、ゴールドがウケがよいです。女性なら紅型(びんがた)や辻が花など個性派着物に、敢えてフレームで黒を効かせればメリハリが付きます。
素材は、和服の生地に合わせて質感にも気を使います。絹や正絹の織物に合わせるなら、メタルフレームは正絹の光沢感と相性抜群です。ウールやポリエステルの着物にセルフレームを合わせる時は、ツヤ消しフレームや木目調フレームでモダンに寄せるとおしゃれ感が増します。
周囲の草木や花柄と調和させるカラーコーディネートもおすすめです。例えば、着物に梅や桜の刺繍があるなら、それに近いピンクや淡い赤のフレームで取り入れてみましょう。反対に、クリームや白ベースの着物にはグレーやベージュのフレームを使い、柔らかな雰囲気を保ちます。
サイズとフィット感
和装は帯で胸元が高く締まるため、上半身の動きが制限されます。首を大きく動かしづらいという特徴があるので、耳元を絞めすぎないサイズ選びが重要です。テンプルは長めで耳にかかる部分がまっすぐなものや、ゆるいカーブのものがおすすめです。
鼻パッドやスプリングヒンジ付きのフレームは、和装用にとても実用的です。鼻パッドで高さ調整ができるため、頭と着物の熱気でメガネがずれにくくなります。さらに、4カーブ程度のカーブレンズにすれば顔の形に合わせやすく視野も自然。試着の際は、ここぞという一日を快適に過ごせそうかを念入りにチェックしてください。
結婚式の写真撮影に備えたメガネの対策
結婚式は写真撮影が多いイベントです。花嫁花婿やゲストがポートレートを撮られる際、メガネのレンズにフラッシュが反射して目元が見えにくくなることがあります。光の反射を抑えるために、結婚式前に眼科で反射防止コート付きレンズに交換しておくのもひとつの手です。普段使いのメガネがない場合は、フォーマル用レンズの新調を検討しておくと安心です。
また、撮影時だけメガネを外すのもよくある方法です。メイクアップやヘアセットを終えた後、式中や披露宴でのフォーマルショットのときだけメガネを外し、終わったらすぐにかけ直すことで、本来の風貌も演出できます。抜刀や家族集合写真など、撮りたいシーンに合わせてメガネを上手に使い分けましょう。
ケース持参も重要です。着物は洋服よりも袖が長く動きづらいので、撮影中にメガネを置き忘れやすい環境です。汚れや傷を防ぐ専用ケースや柔らかい布を必ず用意し、食事中などはケースに収めておくと安全です。
フラッシュ反射への対応
カメラのフラッシュ反射対策として、撮影の順番や角度を工夫してもらうのも一案です。フォトマンに頼めるなら、フラッシュレインの位置を低めにするか、ナチュラル光で撮影する方法を検討してもらいましょう。また、当日持ち込みできるシンプルな覆い(レフ版)をメガネに取り付け、反射を抑える簡易グッズも市販されています。一時的にでも反射を防げば、目元がクリアな写真が期待できます。
ワンポイントテクニックとして、金縁のメガネはフラッシュ光を拾いやすいので、撮影時にはサングラス型の薄曇りレンズに変える家庭用製品もあります。大事なシーンで目元が隠れるのが惜しい場合は、レンズコートでグレア(強い反射)を軽減する処置をしておくと安心です。
スペアメガネとコンタクト
結婚式ではメガネを外したい場面もあります。写真用コンタクトレンズを事前に試しておくと、外したときの違和感や痛みを避けられて便利です。普段コンタクトを使い慣れていない場合も、1〜2週間前から練習して目を慣らしておくのがポイントです。式当日はメガネとコンタクトのどちらも用意し、体調や気分によって使い分けましょう。
メガネを外す代わりに、ワンデータイプのカラコンでほんのり目元を陰るのも一つの演出です。ただし、結婚式の長時間使用では目の乾燥や疲労も起きやすいため、適宜目薬でケアしてください。換えのメガネとして予備を持ち込むのも忘れずに。万が一レンズが傷ついたり、フレームが曲がっても式に集中できるように準備しておくと安心です。
メガネチェーンで落下防止
和装では特にメガネの落下事故に注意が必要です。長襦袢や帯がぶ厚く、頭を大きく動かしにくいので、メガネがずれやすくなります。そこでメガネチェーンやストラップを使い、万が一でも首から下がるようにしておくと安心です。珠飾りや漆器を模した和風のチェーンなら着物にも自然にマッチし、アクセントにもなります。
テンプル(つる)部分に金具留めしなくても、眼鏡に通すストラップ式のもので十分です。式場では意外な角度から動くことも多いため、紐付きで胸元まで下げておけば「吹き出物で手が滑る」「写真撮影でうっかり…」というハプニングも未然に防げます。
また、食事中や宴席でメガネを外す場合、眼鏡置きも用意すると丁寧です。折り畳み式のコンパクト眼鏡置きはテーブルにさっと置けて衛生的。節目の行事として形だけメガネを預けるのではなく、実用性の高いグッズを活用して準備万端で臨みましょう。
和装に合う視力補正アイテム
和装姿で視力を補正する方法はメガネだけではありません。コンタクトレンズやメガネチェーンなどをうまく組み合わせることで、より快適・安全に過ごせます。
まずコンタクトレンズですが、和装は顔周りが主役になるためメガネを外したクリアな目元も魅力的です。コンタクトには度付きと度なし(カラコン)があり、度付きは普段使いと同じものを用意します。カラコンは外見を強調しますが、派手な色のものは着物の繊細さとミスマッチになることがあるので、自然なブラウン系や透明タイプがベターです。
コンタクトを選ぶ際は、長時間装用でも乾燥しにくい高含水タイプや、紫外線カット機能付きのものがおすすめです。式場ではクーラーやドライヤーの風が目に当たることもあるため、使い捨て(ワンデー)タイプを事前に取り寄せておくと安心です。もしコンタクトが目に合わない場合に備え、メガネとの併用プランを決めておきましょう。
視力補正に関して以下のように比較してみると、選び方の参考になります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
メガネ | 付け外し簡単で眼の負担が少ない。ファッションの一部になる。 | 写真で反射しやすい、動きづらい和装では落ちるリスクあり。 |
コンタクトレンズ | メガネが不要で顔全体を見せられる。視界が広く動きやすい。 | 装着に慣れが必要。長時間では乾燥やゴロゴロ感が起こる。 |
裸眼(補正なし) | メガネやコンタクト不要で手軽。 | 視力が悪いと生活が困難に。慣れない場面で不安になる可能性。 |
コンタクトレンズの活用
コンタクトは式中ずっとつけていてもOKな人には快適な選択肢です。事前に眼科を受診して処方してもらい、清潔に装着&外せる練習を十分に行いましょう。特に仙結婚式当日は寝不足になりがちなので、装着感に敏感になる方は余裕を持って調整してください。
装用中のトラブルに備えて、予備の液とケースをバッグに一本常備しておくと安心です。目になにか入ったときや乾きが気になるときすぐ対処できます。コンタクトだけでは視力が不十分な場合もあるので、度数に不安があればメガネ同様サポートアイテムとして補充しましょう。
メガネチェーン・ストラップの活用
メガネチェーンは、和装×メガネコーデを一層引き立てるアイテムです。首元でキラリと光る石や金属の飾りがあれば、アクセントにもなります。チェーン部分が手に引っかかるとメガネを落としにくくなるので、披露宴や二次会で頻繁に動く場合に重宝します。
揺れるパールや組紐をあしらった和風デザインのストラップなら、着物の優美さにマッチします。メガネを外したときも首から下げておけるので「マスク着脱で曇った」「写真で目線合わせる際」など、緊急時のストレス軽減にも効き目があります。
視力補正のシーン別工夫
結婚式では式場内の暗い神殿から屋外での集合写真まで、環境がめまぐるしく変化します。素材が暗い礼服や背景では黒縁眼鏡が堂々と映え、明るいロケーションではフレームレスのメガネが軽やかな印象を残します。カジュアルな披露パーティーでは一転クリアレンズの伊達眼鏡に変える花嫁もいるほど、目元の印象チェンジは着こなしのひとつです。
最終的には、自分が一番「普段通りの自分らしさ」を出せるかどうかが大切です。誰よりも輝きたい特別な日に、「顔の一部」であるメガネがその人らしさを後押ししてくれるなら、遠慮なく取り入れましょう。
まとめ
和装にメガネを合わせる結婚式スタイルは、細部まで気を配ればおしゃれで快適な装いになります。結論から言えば、適切なデザインとマナーを守ればメガネは問題ありません。着物の色柄に調和するフレーム選びや、写真対策としてのレンズ加工・コンタクト併用、チェーンでの補助など、事前の準備を怠らないことがポイントです。大切な日は視界をしっかり確保しつつ、和装ならではの凛とした美しさを存分に楽しみましょう。最後は自信を持って、笑顔で一日を迎えてください。あなたらしい素敵な和装メガネ姿で、結婚式という晴れの日をさらに彩りましょう。