温泉旅館に泊まると浴衣や羽織が用意されますが、初めてだと着方に迷うこともあるでしょう。
この記事では、旅館で浴衣と羽織を正しく美しく着こなす方法を解説します。浴衣を着るタイミングや帯の結び方、羽織の使い方、館内でのマナーも詳しく紹介。さらに、初心者でも安心できる浴衣の襟合わせや着崩れ防止のコツもご説明します。周囲に他の宿泊客がいるので、着崩れやひもがほどけていないか確認しながら館内を移動しましょう。この記事を読んで、旅館での浴衣姿を存分に楽しんでください。
目次
旅館で浴衣と羽織の正しい着方
旅館では宿泊客に浴衣と羽織が貸し出されます。正しい着方を知っておくと、着崩れせずに快適に過ごせます。
ここでは、浴衣の基本や帯の結び方、羽織の着方やマナーまで、順を追って解説します。
浴衣と羽織の特徴・役割
浴衣は綿素材の軽装の着物で、お風呂上がりにリラックスして過ごすために用意された衣装です。まとうだけで涼しく落ち着いた雰囲気が生まれ、旅館ならではの非日常感を味わえます。
羽織(はおり)は浴衣の上に羽織る防寒着で、主に館内や食事会場で冷えから体を守る役割があります。腰丈で袖がある「茶羽織」や袖なしの「半纏(はんてん)」、膝丈の「丹前(たんぜん)」などがありますが、使い方は同じです。寒い時期や館内が涼しいときに羽織を着て、快適に過ごしましょう。
浴衣を着る適切なタイミング
浴衣を着るベストなタイミングは入浴後です。温泉で体が温まったあとは通気性のよい浴衣に着替えると、一層リラックスできます。チェックイン後すぐにお風呂に入り、そのまま浴衣で館内を過ごす人が多いでしょう。
ただし、到着直後に写真を撮ったり旅館気分を味わったりしたい場合は、先に浴衣に着替えても問題ありません。その場合はお風呂に入る前に浴衣を脱ぐ必要があることを覚えておきましょう。朝も同様に、朝風呂上がりに着替えれば清潔な浴衣で朝食に向かえます。
羽織の使い方とポイント
羽織は寒さ対策とマナーの両面で役立つアイテムです。寒い季節や冷房の効いた館内では羽織を羽織って防寒すると快適です。食事会場やロビーなど共用スペースでは羽織を着たままでもよいですが、正式なあいさつや写真撮影の場面では羽織の前を軽く開けたり、一度脱いだりする配慮が丁寧です。
食事の席では羽織を椅子の背もたれにかけるか、綺麗に畳んで膝の上に置くと清潔感があります。寝るときは必ず羽織を脱いでおきましょう。羽織を着たまま寝るのはマナー違反で、寝具が汚れる原因になります。これらのポイントを押さえて羽織を活用すれば、寒さ対策と見た目の両方で安心して旅館ステイを楽しむことができます。
浴衣の基本的な着方
ここからは浴衣の着方を一つずつ見ていきます。まずは自分に合うサイズを選び、正しい手順で浴衣を身につけましょう。帯の結び方や男女別のポイントも押さえて、美しい着姿を目指します。
浴衣のサイズ選び
旅館で用意されている浴衣はフリーサイズではなく、身長に合わせて複数のサイズが用意されています。チェックイン時に浴衣が部屋に置かれているのが一般的ですが、必要に応じてフロントや仲居さんに声をかけてサイズ交換してもらいましょう。自分に合わないサイズの浴衣は着心地が悪く、着崩れしやすくなるため、サイズ選びは非常に重要です。
浴衣を正しく着る手順
- 浴衣を足元に敷き、両足を浴衣に入れてまとう。襟は必ず左前に合わせる(右前にすると不祝儀の着方になるためNG)。
- 両手を袖に通し、浴衣を体にフィットさせて襟元と裾の長さを調整する。襟元は女性なら首のくぼみが少し見える程度、男性は閉め気味に整えます。
- 左の布を右の布の上に重ね、腰紐で浴衣を固定する。腰紐は締めすぎず緩すぎず、着崩れない程度にしっかり結びます。
- 余った布を整えたら、帯を巻く準備をする。帯を腰に通し、適度な位置で長さを調整しましょう。
帯の基本の結び方
- 帯を浴衣の上から一回または二回巻きつけます。帯の位置は腰骨あたりが基本です。
- 帯のたれ(長く垂れる部分)の長さを調整してから、手先を揃えます。
- 前で帯の手先とたれを結び目にし、形を整えます。一般的にはリボン結びが多いですが、好みに応じて蝶々結びや飾り結びにしてもよいでしょう。
- 結び終えたら結び目を後ろに回し、背中で帯結びがくずれないように整えます。
男女別の着こなしポイント
項目 | 女性 | 男性 |
---|---|---|
襟合わせ | 襟元を広げて首筋が見えるように | 襟元を閉めて整える |
帯の結び方 | リボン結びなど華やかに | シンプルな片結び |
帯の位置 | 高めの位置でウエストを強調 | 腰骨あたりで楽に |
着崩れ予防 | 裾や襟が下がらないようこまめに確認 | 動いても着崩れしないよう丁寧に |
女性は襟元を広めに開けることであでやかな印象になり、帯もリボン結びなどで華やかに仕上げます。男性は襟を閉めて落ち着いた雰囲気とし、帯もシンプルな結び方で動きやすさを重視します。同じ浴衣でも男女で着こなし方が異なるので、上記の違いを参考にしましょう。
羽織の基本的な着方
羽織は浴衣の上に羽織るカジュアルな上着で、寒い季節や冷房対策に使います。羽織を正しく着ることで、防寒性だけでなく見た目の印象もよくなります。ここでは羽織を着る前に知っておきたい基本と手順を解説します。
羽織とは?種類と特徴
羽織(はおり)は浴衣の上に羽織る防寒着です。一般的に腰丈で袖があるものを指し、館内で肩に羽織って使用します。宿によっては腰丈で袖なしの半天(はんてん)や、膝丈の丹前(たんぜん)が用意されていることもありますが、いずれも防寒用の上着として同様に使います。
羽織の着方手順
- 羽織を肩にかけ、前身ごろを左右均等に揃えます。前合わせが乱れていないか確認しましょう。
- 袖があるタイプの羽織の場合は、両腕を通します。袖なしの場合は両肩に掛けるだけで構いません。
- 羽織の前を合わせ、羽織紐(はおりひも)を胸の前で結びます。紐は緩すぎず、呼吸や動きを妨げない程度の強さで結びます。
羽織紐の結び方
- 羽織紐の付け根を首元に合わせ、両端を前に引きます。
- 両紐を交差させ、片方のループをもう一方の紐に巻きつけます。
- 輪にした片方の紐をもう一方の紐の束に通し、形を整えて飾り結びに仕上げます。
- 結び目を目立たせたくない場合は、余った紐を垂らさずに裏側に回して固定しましょう。
浴衣・羽織を着るときのマナー
浴衣や羽織を着る際はマナーにも気を配りましょう。館内は他の宿泊客もいる共用スペースです。着崩れを防ぎ、清潔感ある身だしなみで過ごすことが大切です。ここでは館内での振る舞いや食事中・就寝時の注意点を紹介します。
館内での振る舞い
- 移動前に鏡で姿をチェックし、帯のゆるみや襟の乱れがないか確認しましょう。
- 館内では静かに移動します。大声を出したり走ったりせず、浴衣姿で落ち着いた行動を心がけます。
- 裾を踏まないよう、歩くときは裾を軽く持ち上げておくと安心です。
- 共用スペースを移動するときは、浴衣の裾や帯がはだけていないかこまめにチェックしましょう。
食事中・就寝時のマナー
- 食事の際は羽織を脱ぎ、椅子の背もたれにかけるか畳んで膝の上に置きます。こうすると清潔感があります。
- 寝る前には必ず羽織を脱いでおきます。浴衣だけで布団に入り、羽織は枕元や脱衣かごに置きましょう。
- 朝食も浴衣で可能ですが、肩が落ちたり裾が乱れたりしていないか再度鏡で確認してから食事処へ向かいます。
動作やしぐさのポイント
- 座るときは背筋を伸ばし、両膝を揃えます。椅子に座る場合も浅めに腰掛け、上半身はまっすぐにします。
- しゃがむ・立ち上がるときは腰から動かすことを意識し、裾がめくれないように気をつけます。
- 物を取るときは片手で袖口を軽く押さえ、腕が覗かないように注意しましょう。
- 階段では裾を持ち上げて一段ずつゆっくり昇降します。裾が踏まれないよう気を配ります。
- 髪型はすっきりまとめ髪がおすすめ。浴衣姿を引き立てる清楚な印象になります。
まとめ
- 浴衣は必ず左前に合わせ、腰紐や帯でしっかり固定します。襟元や裾が乱れていないかこまめにチェックしましょう。
- 羽織は寒いときにさっと羽織って防寒に役立てます。正式な場では前を開け、食事中は脱いでおくと丁寧な印象です。
- 館内では清潔感を重視し、静かに落ち着いて行動します。座る・移動・食事中も周囲への配慮を忘れずに。
以上のポイントを押さえておけば、旅館での浴衣・羽織の着方に自信が持てるはずです。快適な浴衣姿で、楽しい旅館ステイをお過ごしください!