結婚式で着物を着る時に一番迷うのが色選びです。会場の雰囲気、昼夜、季節、そして自分の年代や立場によって、ふさわしい色の基準が少しずつ変わります。基本マナーを押さえながら、好印象に見せる配色のコツを体系的に解説します。最新情報です。読み進めれば、手持ちの一枚でも小物の色合わせで格上げできる実例まで分かります。
迷った時にすぐ参照できる表やチェックリストも用意しました。
目次
結婚式の着物の色マナーと避けたい色
結婚式の着物の色は、花嫁を引き立てる上品さと慶事らしい華やぎの両立が基本です。最も避けたいのは白一色に見える配色です。白無垢と重なるため、白地の面積が大きい訪問着やアイボリー一色の装いは控えます。また黒一色の無地は喪を連想させるため不向きで、黒を用いるなら黒留袖など慶事の意匠で格を満たす装いが前提です。
原色の蛍光色や強いメタリックの多用も主役超えになりやすいため慎重に。素材は正絹、帯は袋帯を基本に、吉祥文様や金銀の糸遣いで慶びの空気を添えると安心です。
色マナーチェック
- 白一色や白面積が広い装いは避ける
- 黒一色の無地は避け、黒留袖は親族向けに限定
- 蛍光色や過度なラメは控えめに
- 金銀は帯を中心に、全体の1〜2割に留める
- 木綿や浴衣などカジュアル素材は不可
花嫁と被る色を避ける理由
白は花嫁の象徴色です。白無垢や純白のドレスに敬意を払い、ゲストは白一色に見える装いを避けます。白地の訪問着でも地色の白面積が大きく、帯や小物も白寄りだと写真で同化しやすく、会場照明下ではなおさらです。
どうしても白地を着る場合は、柄域が広く多彩な色が入るものを選び、帯は金銀地でも生成や淡色、半衿は白の刺繍程度に抑え、重ね衿や帯揚げで彩りを足して全体の白比率を下げるのが現実的な回避策です。
暗すぎる色や派手色の線引き
黒や濃紺など暗色は、地色が暗くても金銀や吉祥文様がしっかり入った訪問着や留袖であれば慶事に適します。ただし無地に近い黒や藍墨茶は喪を連想させやすいので避けましょう。
一方で蛍光ピンクやネオン系は昼の式場では浮きやすく、写真でも強く出ます。高彩度を使うなら面積を小物に限定し、着物の地色は中彩度の上品な色に。夜の披露宴では深いボルドーや瑠璃紺などのシックな色が映えます。
年代別に似合う色の選び方

年代によって似合う色は変わりますが、結婚式では年相応の品格と華やぎのバランスが鍵です。若年層は明度や彩度のある色が生き生き見え、中高年層は中明度からやや低明度の落ち着いた色が肌映えしやすい傾向です。
ただし個々の肌色や会場の照明でも見え方は変化します。迷ったら、くすみ過ぎない中間色を基調に、帯や小物で明るさを足す設計にすると、どの年代でも好感度が安定します。
10代20代未婚は振袖中心の色選び
未婚女性の第一礼装は振袖です。明るい桃色、翡翠色、薄藤、空色などの高明度カラーは顔映りが良く、写真でも華やかに写ります。柄は熨斗や花車、束ね熨斗など吉祥文様を選び、帯は金銀地の袋帯で格を揃えましょう。
可憐さを保つには、帯揚げ帯締めで1色差しを作るのがコツ。例えば薄桃の地色に白金の帯、翡翠の帯締めを一点投入すると、若々しさがありつつ品も保てます。裾引きや露出の多い髪飾りは控えめに。
30代40代50代以降の落ち着き色
30代以降は訪問着や付下げ、色無地一つ紋に格のある袋帯が実用的です。色は薄藤、灰桜、江戸紫、藍鼠、利休茶、鶸色などの中間色が肌を美しく見せます。
落ち着いた色でも地味に見せないポイントは、帯と小物で艶を足すこと。金糸銀糸の織り帯や品の良い刺繍半衿で光を加え、帯締めを白金や翡翠で締めると慶事らしい華やぎが出ます。既婚でも二重太鼓で十分格が出ます。
立場別の色と格の目安
色選びは立場によっても変わります。母親は黒留袖が慣例、既婚の姉妹や親族は色留袖または訪問着、未婚の姉妹は振袖が基準です。主賓や来賓は控えめで格の高い色無地一つ紋や訪問着が安心、友人は華やかめの訪問着や付下げが無難です。
男性は新郎が黒紋付の可能性があるため、ゲストは黒紋付を避け、濃紺や茶の色紋付やスーツを選ぶのが現実的です。以下の表で簡潔に整理します。
| 立場 | 主な装い | 推奨の色傾向 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 母・義母 | 黒留袖 | 黒地に裾模様 | 帯小物で明るさを添える |
| 祖母 | 黒留袖・色留袖・訪問着 | 深緑・江戸紫・鼠系 | 格は披露宴に合わせる |
| 姉妹 未婚 | 振袖 | 薄桃・水色・薄藤 | 白一色見えは避ける |
| 姉妹 既婚 | 色留袖・訪問着 | 灰桜・藍鼠・鶸色 | 主役越えの派手色は不可 |
| 主賓・上司 | 訪問着・色無地一つ紋 | 藍鼠・利休茶・江戸紫 | 控えめで格を重視 |
| 友人 | 訪問着・付下げ | 薄色〜中間色 | 帯で華やぎを足す |
| 男性ゲスト | スーツ or 色紋付 | 濃紺・濃灰・濃茶 | 黒紋付は新郎とかぶる |
母・祖母・親族が選ぶ色
母親は黒留袖が第一礼装です。帯は金銀地に寿文様を合わせ、帯締め帯揚げは白金系で端正に。祖母は会場や地域慣習により黒留袖から訪問着まで幅がありますが、深い緑や江戸紫など落ち着いた色が写真映えも良くおすすめです。
姉妹や叔母は、主役に近い立場であっても色留袖や控えめな訪問着を。色は灰桜、溜色、藍鼠など中明度が安心です。男性親族はモーニングが多いですが、和装なら黒紋付は新郎と競合するため避け、濃紺の色紋付に白足袋で清潔感を出します。
友人・同僚・主賓の配色基準
主賓や来賓は控えめで格のある色が基本。色無地一つ紋に格高い袋帯、または訪問着の中間色が好まれます。友人は明るい色でも問題ありませんが、蛍光系や過度なラメは避け、帯で華やぎを演出しましょう。
スピーチや受付など役割がある場合は、落ち着いた色を選ぶと信頼感が増します。写真に残ることを考え、隣に並ぶ親族の黒留袖や新郎新婦の衣装と色の明暗差が出る配色にすると、集合写真でバランス良く収まります。
季節と時間帯で変わる最適な色
季節と時間帯は色の見え方を大きく左右します。春夏は高明度かつ軽やかな色、秋冬はやや低明度で深みのある色が映えます。昼は柔らかい色が清潔に、夜は光を含む帯や深色がリッチに見えます。
単衣や薄物の季節は素材の透け感が加わるため、地色が明るすぎると膨張して見えることも。帯を締め色にして輪郭を作ると、写真写りが安定します。
| 季節 | おすすめの色 | ポイント |
|---|---|---|
| 春 | 桜色・若草色・薄藤 | 淡色に金銀帯で華やぎを |
| 夏 | 水色・薄翡翠・薄鼠 | 涼感のある薄物にすっきり配色 |
| 秋 | 萩色・鴇色・葡萄色 | こっくり色に光沢ある帯 |
| 冬 | 瑠璃紺・深緑・溜色 | 深色に白金小物で抜け感 |
春夏の爽やか色と素材感
春は桜色や若草色、薄藤など柔らかな色が会場に溶け込みます。帯は白金や生成金で明るさを保ち、半衿は白の刺繍で清潔感を。夏は絽や紗などの薄物で、水色や薄翡翠など清涼感のある色が適します。
透け感のある素材では、帯の色が強すぎると重心が下がるため、明度をそろえて軽やかに仕上げるのがコツです。うちわ柄など季節物は先取りし過ぎず、抽象的な吉祥柄を選ぶと外しにくいです。
秋冬の深み色と夜の華やぎ
秋は紅葉色や葡萄色、江戸紫など深みのある中彩度が上品です。冬は瑠璃紺や深緑、溜色などの重厚な色に、金銀の袋帯で光を足すと夜の照明に映えます。
夜の披露宴では、昼より一段華やかな帯や小物を選んでも過剰になりにくいです。逆に昼間は金銀の面積が多いと強く出るため、帯締め帯揚げで彩度を調整し、全体の光沢感を控えめに整えると好バランスです。
帯と小物の色合わせ実例
同じ着物でも帯と小物の配色で印象は大きく変わります。基本は着物の地色、帯の格と色、小物の差し色の三段構成です。帯は最も格を表す要素なので金銀地の袋帯を軸に、着物が淡色なら帯で光を、濃色なら帯で明るさを。
小物は全体の1〜2割の面積で色を足すイメージにすると上品にまとまります。足袋は白、草履とバッグは白金やベージュ金が使いやすいです。
帯の色と格の合わせ方
慶事では金銀糸を用いた袋帯が基本です。淡色の訪問着には生成金や白金の帯で明度を揃え、濃色には金銀のコントラストがある帯で抜けを作るとバランスが良くなります。
文様は宝尽くし、鳳凰、七宝、御所車など吉祥柄を。名古屋帯は略礼装寄りのため、披露宴クラスでは袋帯を選ぶのが無難です。帯締めは白金や翡翠、臙脂などで一点締めにすると全体が引き締まります。
小物で上品に華やぐ配色
半衿は白が基本ですが、刺繍半衿でごく控えめに彩りを足すのは可。重ね衿は着物の地色と帯の色をつなぐ中間色を選ぶとまとまりが出ます。帯揚げは淡色で柔らかさを、帯締めは彩度のある色で締まりを演出します。
例えば薄藤の訪問着に白金帯なら、帯揚げは薄生成、帯締めは江戸紫でなじませ、髪飾りやネイルはベージュ系で上品に。金銀小物の面積を増やし過ぎず、視線が散らない三色設計が成功の近道です。
即使える配色レシピ
- 灰桜の訪問着×白金帯×翡翠の帯締め
- 藍鼠の付下げ×生成金帯×薄藤の小物
- 深緑の訪問着×銀地帯×象牙の小物で凛と
まとめ
色選びの正解は、花嫁を引き立てる上品さを軸に、年代と立場、季節と時間帯に合わせて微調整することです。白一色見えと黒無地、蛍光色の多用は避け、慶事らしい吉祥文様と金銀の帯で華やぎを添えれば大きく外しません。
迷ったら中間色の訪問着に格のある袋帯、白足袋と白金小物で整えるのが最適解です。テーブルとチェックを参考に、自分らしい一枚を最良の色で輝かせてください。