卒業式に着物は本当に浮くの?不安解消ガイド

卒業式に着物で出席すると浮いてしまうかも…と不安に思う方は多いと思います。しかし、着物は日本の伝統的な正装です。正しく選び、コーディネートすれば、卒業式でも華やかに映えます。

この記事では、卒業式に着物を着て浮かないためのポイントやおすすめの着物選びについて解説します。卒業式で自信を持って着物を楽しむための参考にしてください。

卒業式に着物で出席すると浮くの?

卒業式はお子さんが主役の式典。親御さんが着物で参加すると、周囲の慣れた洋装と違って目立つかもしれません。「浮く」というのは、周りと服装が周囲と極端に違って浮き上がって見える状態を指します。

しかし、着物はもともとフォーマルな正装の一つですので、場違いになるわけではありません。卒業式での服装マナーを知っておけば、きちんとした和装で式にふさわしい装いにできます。

着物を着ること自体はお祝いや慶びを表す適切な服装なので、上手にコーディネートすれば目立ち過ぎずに美しく仕上がります。まずは「浮く」の意味と卒業式での服装事情から理解しましょう。

「浮く」とはどういう意味?

「浮く」は目立ちすぎて場にそぐわない印象になることを指します。卒業式では、多くの親御さんや来賓の方がスーツや落ち着いたワンピースなど洋装で出席します。この中で、華やかな着物を着ていると確かに周りから見ると印象が強くなりやすいでしょう。ただし悪い意味で心配する必要はありません。着物は日本の伝統的な礼服であり、フォーマルな式典には相応しい装いだからです。

卒業式はかしこまった場ですので、着物で出席すると格式の高さや晴れやかさが加わります。それでも浮いて見えるか不安な場合は、マナーを守って着付けや小物選びを工夫することで違和感なく参加できます。

卒業式での服装マナーと主役

卒業式では何より主役は卒業生の子どもたちです。服装も子どもの成長を祝う華やかな雰囲気を大切にしますが、着る側(親御さんなど)があくまで脇役であることを忘れてはいけません。卒業式にはフォーマルな装いが求められますが、あまりにも派手すぎるものは控えます。

洋装でもダークカラーの落ち着いたスーツが一般的で、派手過ぎないコサージュやアクセサリーで華やかさを添えるのが基本です。同様に、着物の場合は色や柄を抑えめにして、あくまで子どもより目立たないように着こなします。正礼装までは必要ありませんが、半歩控えめで品のある装いを意識すれば卒業式にふさわしい和装になります。

周囲の服装事情を確認しよう

現代では着物を着る方よりも、手軽な洋装スーツで出席する方が増えています。とくに都市部や若い世代では、卒業式で着物姿の親御さんは少数派かもしれません。そのため「自分だけ着物を着て大丈夫かな?」と心配になりますね。しかし逆に言えば、きちんとした格式の着物は周りの洋服とは違う華やかさがあり、スーツやワンピースにはない気品を演出できます。

もし周りで着物を着ている人がいなくても、日本の式典では着物はとてもフォーマルな服です。悪く言われる心配はいらず、主役であるお子さんの晴れ舞台を彩る素敵な選択肢になるでしょう。浮かないためには、着物選びや小物合わせで全体のバランスをしっかり整えるのがポイントです。

卒業式で着物が浮く主な原因

卒業式で着物が不釣り合いに浮いてしまうのには、主に以下のような原因があります。これらの点に注意すれば、浮かないスマートな着こなしが可能です。

着物の格を間違えている

着物には、場に合わせた「格(フォーマル度)」があります。卒業式は格式の高い式典ですが、結婚式ほどの最高礼装までは求められません。最も格式が高い黒留袖や振袖を着るのは卒業式には過剰です。

振袖は未婚女性や成人式などにふさわしい華やかな礼装ですし、留袖は既婚女性が結婚式などで着る正式な装いです。卒業式でこれらを着ると、かえって周囲から「場違い」だと思われてしまうこともあります。

卒業式にふさわしいのは準礼装レベルの着物です。具体的には柄の少ない「色無地」や控えめな柄の「訪問着」「付け下げ」、またはあまり絢爛ではない「江戸小紋」などが適しています。これらは着物の中でも格式が高めですが、主役であるお子さんより目立たない柄選びをすれば華やかになりすぎません。自宅にある着物の格がわからない場合は呉服店などに相談するか、上記のような種類を選ぶと安心です。

派手な色柄を着ている

色や柄があまりにも派手だと、着物全体が浮いて見えてしまいます。卒業式は別れと新しい門出を祝う式ですから、お祝いの気持ちは込めつつも落ち着いた色合いがおすすめです。例えば紺色・グレー・ブルーグレーなどのシックな色や、春にふさわしい薄いピンクやクリーム色も好まれます。原色や黒など寒色系の目立つ色は避けるのが無難です。

柄も同様で、大きく広い面積にわたって派手な柄が入っているものは控えます。卒業式では季節の花柄や伝統柄など、上品でクラシックな柄がぴったりです。桜や牡丹、椿、藤などの花柄や、亀甲柄・七宝柄・扇や貝合わせなど慶事にふさわしい古典柄なら華やかさもありつつ上品です。

特に桜だけが大きく入っているものは柄が偏って見えやすいので、桜は他の花柄と組み合わせてある方が女性らしい優雅さが出ます。色無地(柄なし)の着物を選べば、色さえ落ち着かせれば浮くことはほぼありません。

小物やバッグのコーディネートが不適切

着物は、小物合わせによって印象が大きく変わります。卒業式では着物の色柄だけでなく、帯や半衿、帯揚げ・帯締め、バッグ、草履といった小物もフォーマル仕様に整えることが大切です。例えば帯は礼装用の袋帯を二重太鼓結びにするのが基本。金糸が多く織り込まれた華やかな袋帯を選ぶと正式感が出ますが、あまり豪華すぎると派手になるので、きれいめの淡い色合いの帯を合わせると上品です。

半衿は白やオフホワイトなど控えめな色柄のもので、華やかな柄衿は避けます。帯揚げ・帯締めも着物と帯に合わせてシンプルなものを選びましょう。バッグは洋装用の小ぶりなクラッチやハンドバッグでもOKですが、合皮や布地でカジュアルすぎないものを選びます。草履は必ずフォーマル用のもの(鼻緒が華美でないもの)にし、足袋は白足袋を合わせるのが礼儀です。これらの小物使いが場にふさわしくないと、着物全体がミスマッチに見えて「浮いた」印象を与えかねません。

卒業式にふさわしい着物の種類・色柄

卒業式で着るのに適した着物は、色味も柄も控えめで上品なものです。ここでは卒業式におすすめの着物の種類や色柄選びのポイントを紹介します。

訪問着・付け下げ・色無地など格式ある着物

卒業式では比較的格式の高い着物(準礼装)から選ぶのが無難です。具体的には柄の繋がった絵羽模様が特徴の訪問着、柄の上下方向に流れのある付け下げ、そして地紋のない無地で黒以外の色に染められた色無地などが挙げられます。これらは主張しすぎず落ち着いた印象を与えられますし、必要に応じて家紋(丸に三つ揃い星など)を一つ入れれば格式も上がります。

逆に派手さやカジュアルさがある小紋は注意が必要です。遠目には無地に見えるような江戸小紋の上品な柄であればOKですが、カジュアル感の強い柄は卒業式では場にそぐわないとされています。初心者で見分けが難しい場合は呉服店に相談しましょう。間違いを避けるなら訪問着や付け下げ、色無地などを選ぶのが安心です。

卒業式に合う落ち着いた色合い

着物の色はダークなものをベースにしつつ、春らしい優しい色味を取り入れると雰囲気がよくなります。例えば、濃紺、深いグレー、ブルーグレーなど落ち着いた色は品格があり、式典にふさわしい雰囲気を演出できます。一方で、黒は慶事では略礼装にあたり地味になりやすいので避けた方が無難です。

春先を感じさせる色柄も好印象です。薄いピンク、クリーム、パウダーブルー、淡い黄緑などの柔らかい色を選ぶと暖かみが出ます。ただし明度の高すぎる色は目立ちすぎる可能性があるので、あくまで控えめに配色します。一色染めの色無地を選ぶ場合は上記のような品ある色にし、小物でアクセントをつけるイメージです。

卒業式におすすめの柄

柄については、上品でお祝いらしい古典柄を取り入れることがポイントです。季節の花柄であれば、卒業式が行われる春に合わせて桜、椿、牡丹、藤といった柄が人気です。特に桜は春の定番ですが、桜だけだと単調になりがちなので、他の花と組み合わせた柄なら奥行きが出ます。また、扇面や亀甲文様、七宝模様、貝合わせなどの古典文様も慶事にふさわしく、華やかさがありつつも品良くまとまります。

柄は着物の地の色とのバランスも大切です。例えば地色が淡いピンクの着物に中心的に牡丹の柄を配したり、紺色の着物に扇や桜模様を散らしたりすると落ち着きながらも華があります。帯は着物よりもやや明るめの色を選ぶと全体にメリハリがつきますが、金糸の刺繍が派手過ぎるものは避け、白や銀などを基調とした淡い配色に留めると上品です。着物と帯で柄を統一する(例えばどちらも古典柄にする)と、全体がまとまりやすくなります。

卒業式に着物で出席するときのコーディネートポイント

着物本体以外の小物や全体のまとめ方も卒業式で浮かないために重要です。ここでは帯や襟元、バッグ、草履といった小物選びのポイントを解説します。

礼装用の帯と結び方

帯は着物の中心的な小物です。卒業式では正式な袋帯を使い、二重太鼓に結ぶのが基本です。袋帯には金銀糸が入った華やかなものが多いので、柄自体が豪華過ぎない色や模様の帯を選ぶと良いでしょう。例えば、白地に金銀の刺繍で控えめに模様が入った帯なら、光沢があるものの品よくまとまります。

二重太鼓結びは落ち着いた印象になるので、華美になりすぎません。対してお太鼓の厚みが高くなる「ふくら雀結び」はやや華やかですが、使う帯を厳選すれば礼装としてOKです。半幅帯やカジュアルな帯は絶対に避けましょう。帯締め・帯揚げもできるだけフォーマル用のものにし、色は白、銀、薄いパステル系など落ち着いたトーンでまとめると浮かずに上品です。

半衿・帯揚げ・帯締めの選び方

半衿は白またはオフホワイトなど無地に近いものを選び、派手な柄物は避けます。刺繍衿もきれいですが色柄はなるべく抑えめに。帯揚げはシンプルな絞りなどで、帯締めも帯と同系色の控えめなタイプを選ぶと統一感が出ます。また、もし予算に余裕があれば貝の口や京組紐など、格式ある素材の帯締めを使うと一段とフォーマル感が増します。

羽織を着る場合、卒業式は室内で式がほとんどなので基本的には羽織なしで問題ありません。どうしても寒さが気になる時は、ショール(ストール)を肩からかけるほうが礼装感を保てます。色無地などにひとつ紋がついたフォーマルの羽織をお持ちならそれを着ても良いですが、簡単には脱ぎ着できないことと動きづらい点に注意が必要です。

バッグや草履など足元のマナー

バッグは洋服用のシンプルなハンドバッグやクラッチバッグでも構いませんが、高級感のある素材(エナメル風、艶のある布地など)で落ち着いた物を選びましょう。カジュアルなトートバッグなどは避け、見た目にもきちんとした印象のバッグを合わせます。和装用のフォーマルバッグ(がま口や金台紙の箱形バッグ)も洗練された雰囲気になるのでおすすめです。

草履はフォーマル用の台と鼻緒を使いましょう。鼻緒や台にあまり厚い金糸が入っていない、シンプルなものが式典には適しています。必ず白足袋を履き、素足やカジュアルなストッキングで参加するのはマナー違反です。足元が整うだけで着物全体の品格が保たれるので、草履選びもしっかりしましょう。

卒業式に着物を着た時の髪型とその他の装い

京都の着付け教室などでも指摘されるように、着物に合ったヘアスタイルやアクセサリー選びも重要です。せっかく着物を選んでも、髪やヘア飾りが浮いていては台無し。ここでは髪型別のアレンジ例と、小物選びの注意点を紹介します。

ショートヘアのアレンジ

ショートヘアの場合、アップにできる長さがないので襟足をきれいに見せるのがポイントです。髪全体に程よい丸みを持たせてブローし、襟足をタイトにまとめるだけで清潔感が出ます。襟足のラインをキレイに出すことで首元がすっきりし、着物の華やかさが引き立ちます。

華やかさを足したい時は、片耳か両耳のどちらかで耳に髪をかけて顔周りを見せるのも効果的です。あえて一方だけにピンで留めて外ハネをつくるなど、小さな巻き髪やヘアアクセサリーでアクセントを加えます。大きめの花飾りはショートだと不自然になりやすいので、小さめのコームやバレッタで上品にまとめましょう。

ミディアムヘアの場合

ミディアムヘアは長さが出るので編み込みやまとめ髪が映えます。まず顔まわりをすっきりさせてから、トップに軽くボリュームを出します。後頭部の高さはあまり高くしすぎず、低い位置でまとめると大人っぽい印象になります。ローポニーテールやローポニー風お団子アレンジ、あるいは三つ編みを交えたまとめ髪にすると上品です。

顔周りに後れ毛が出過ぎないように注意しますが、全くタイトにまとめすぎると硬い雰囲気になるので、ごく少量の髪を顔周りに残して軽くカールさせておくと柔らかい印象になります。髪飾りは小さめのものをサイドや後ろのまとめた部分に差し込み、華やかさを添えれば完璧です。

ロングヘアのおすすめスタイル

ロングヘアはまとめるボリュームが出やすいので、いかにコンパクトに仕上げるかがポイント。下ろしたままのストレートヘアや、肩から大きく垂らすヘアスタイルは着物にはあまり向きません。代わりに、最も着物に合うアップスタイルを取り入れます。

例えばシニヨン(襟足近くで作るお団子)やギブソンタック夜会巻きなどは着物に似合うハイグレードなまとめ髪です。シニヨンは後ろにふんわりとまとめるお団子で、ルーズな質感にすると優しい印象になります。ギブソンタックや夜会巻きは少し技術が要りますが、肩ラインがすっきり見えて凛とした美しさになります。

ロングの場合はまとめる前によく髪を巻いておくとアレンジしやすいです。いずれのスタイルでも、控えめな飾りを使って上品に仕上げましょう。長い髪は存在感がありますが、あくまで着物が主役になるよう大きく派手なアレンジは避け、着物と調和するシンプルなまとめ髪に仕上げることが大切です。

まとめ

卒業式に着物で出席する場合、「浮く」かどうかは着物の選び方とコーディネート次第です。卒業式で浮いてしまう主な原因は、着物の格が場に合っていない、色柄が派手すぎる、小物合わせが適切でないことなどです。

しかし、着物は本来フォーマルな正装ですから、訪問着・付け下げ・色無地など格式ある着物を選び、控えめな色と上品な柄でまとめれば浮くどころか品よく華やかな装いになります。帯、半衿、バッグ、草履など小物も礼装用のものを選び、髪型も着物に合ったスタイルにすれば、卒業式にふさわしい和装で安心して出席できます。

最後に大切なのは、卒業式の主役はあくまで卒業生のお子さんであることを忘れないこと。あくまでも縁の下の力持ちとして、着物で華やかに彩りながらも、お子さんを立てる気持ちで装いましょう。2025年でも伝統的な着物の正装は変わらず素敵な装いです。正しく選んで着ることで、卒業式は心に残る晴れの日となるでしょう。

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